
「自分がいなくなった後、このお墓はどうなるんだろう?」そんな不安がふと頭をよぎることはありませんか。手入れされず、夏草に埋もれ、誰もお参りに来なくなった「無縁仏」の映像をニュースで見ると、決して他人事とは思えなくなりますよね。
なにより、愛する子どもや孫に「お墓の管理費」や「撤去の重労働」という負の遺産を背負わせたくはないはずです。でも、焦って一人で動き出すのは絶対NG。実は、墓じまいの失敗で最も多いのは、手続きのミスではなく「親族間の泥沼トラブル」なんです。
あなたの「良かれと思って」が、一生のしこりにならないために。まずは正しい「根回し」から始めましょう。
いきなり見積もりはNG!なぜ「親族への相談」が最優先なのか
墓じまいと聞くと、つい「石材店にいくらかかるか聞かなきゃ」とか「役所の手続きは?」と実務的なことに意識が向きがちですよね。でも、最初にすべきは、親族への「お伺い」なんです。
「聞いてない!」が一番のトラブルの元
以前、こんな話を聞きました。60代のAさんは、長男である自分がすべて管理しているからと、誰にも相談せずにお墓の撤去を決めました。しかし、いざ工事という段になって、遠方に住む叔父さんから「先祖代々の墓を勝手に処分するとは何事だ!」と猛烈な抗議を受けたのです。
結局、工事はキャンセル。キャンセル料だけがかかり、親戚関係もギクシャクしてしまったそうです。お墓というのは、法律上の名義人が誰であれ、親族みんなの「心のよりどころ」という側面があります。「自分の一存で決めていい」と思い込むのは、とても危険なんですよ。
相談すべき範囲はどこまで?
では、誰まで相談すればいいの?と迷いますよね。基本的には、そのお墓に入っているご先祖様と縁のある人たちです。具体的には、自分の兄弟姉妹はもちろん、親の兄弟(叔父・叔母)あたりまでは声をかけておくのが無難です。
特に、普段はお墓参りに来ていなくても、「お盆にはあそこのお墓に手を合わせるものだ」という強い思い入れを持っている親戚がいる場合もあります。広めに声をかけて、「無視された」と思わせないことが大切です。
カドが立たない!親族が納得する「魔法の伝え方」
いざ相談するとなると、「反対されたらどうしよう」とドキドキしますよね。でも、伝え方ひとつで相手の反応はガラリと変わります。ポイントは「決定事項」として伝えないこと。「相談」という形をとるのが成功の秘訣です。
「墓じまいします」ではなく「悩んでいる」と切り出す
いきなり「来月、墓じまいをするから」と言われたら、相手も「なんで勝手に!」と反発したくなります。でも、「実はお墓のことで少し悩んでいて、相談に乗ってくれない?」と言われたらどうでしょう。「頼られている」と感じて、耳を傾けてくれるはずです。
私がおすすめしているのは、こんな切り出し方です。 「最近、足腰が弱ってきて、お墓の掃除に行くのが本当に大変になってきたんだよね。このままだと、お墓が荒れ放題になってご先祖様に申し訳ないことになりそうで、心配で…」
こう言えば、誰も「無理して掃除に行け!」とは言えませんよね。相手の情に訴えかけつつ、現状の難しさを共有するんです。
主語を「子どもたち」に変えてみる
それでも渋る親族がいる場合は、「子どもたちへの負担」をキーワードにしましょう。
「私たちがいなくなった後、あの子たちに管理費や手入れの負担を残すのは忍びなくて」 「遠方に住んでいる息子に、お墓のことで苦労をかけたくないんだ」
こう話すと、反対していた親族も「まあ、確かに子どもたちには迷惑かけられないな」と納得してくれることが多いんです。未来の話をすることで、前向きな話し合いに持っていきましょう。
話し合いの前にこれだけは!最低限調べておくべきこと
相談が大切とはいえ、手ぶらで「どうしよう?」と持ちかけるだけでは話が進みません。具体的なイメージを持ってもらうために、こっそりと下調べだけはしておきましょう。これが「デキるシニア」の進め方です。
大まかな「次の行き先」を考えておく
「墓じまいした後、お骨はどうするの?」これは必ず聞かれます。
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近くの納骨堂に移す
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永代供養墓(合祀)にする
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樹木葬にする
など、いくつかの選択肢と、それぞれのざっくりとした費用を調べておくとスムーズです。「近くに明るい雰囲気の納骨堂があってね、そこならバスでも行けるから、今よりお参りしやすくなると思うんだ」と、具体的なメリットを添えて提案できれば完璧です。
費用負担についても腹案を持っておく
お金の話は一番デリケートです。「誰が出すんだ」という空気になる前に、「基本的には私が自分の貯金から出すつもりだけど、もし足りない時は少し相談させて」といった風に、自分のスタンスを決めておきましょう。
私の知人のケースでは、「墓じまいの費用は自分が出すから、その後の法要の費用は兄弟で分担してほしい」と提案して、うまくまとまっていましたよ。
最後に
墓じまいは、単にお墓をなくすことではありません。ご先祖様をより手厚く供養できる環境に移し、そして何より、あなた自身のこれからの人生を軽やかにするための「心の整理」でもあります。
親族への相談は、最初は少し勇気がいるかもしれません。でも、勇気を出して話してみることで、「実は私も心配していたんだ」と、思いがけず共感してもらえることも多いものです。
どうか一人で抱え込まないでくださいね。まずは電話一本、あるいはお茶の席での何気ない一言から。「これからの安心」のために、小さな一歩を踏み出してみませんか。あなたが晴れやかな気持ちで毎日を過ごせることを、心から応援しています。



