
通帳に記帳された年金の振込額を見て、ため息をついたことはありませんか。「一生懸命働いてきたのに、これだけ?」「もしかして、私だけがこんなに少ないの?」そんな不安に夜も眠れなくなる時があるかもしれません。
実は、国が発表する「平均受給額」という数字には、多くのシニアが陥りやすい「ワナ」が隠されています。ニュースで見る平均額と、あなたの手元にある金額にズレがあるのは当然のことなのです。しかし、そのズレを「仕方ない」で済ませてしまうと、知らぬ間に「老後破産」への坂道を転がり落ちてしまう危険性があります。
この記事では、ご近所さんには絶対に聞けない「60代・70代の年金のリアルな懐事情」を包み隠さず公開します。そして、今からでも間に合う「お金の不安を消すための正しい手順」をお伝えします。現実を直視するのは怖いことですが、知ることは自分を守る最強の武器になります。さあ、一緒に「本当の安心」を探しに行きましょう。
「みんな、本当はいくらもらってる?」60代・70代の年金受給額、リアルな平均値
「平均」という言葉にはマジックがあります。一部の大金持ちが数字を引き上げてしまうため、実際の大半の人の感覚より高い金額が出てしまうのです。ここでは、厚生労働省のデータをもとに、より現実に近い数字を見ていきましょう。
国民年金と厚生年金、それぞれの現実
まず、ご自身の年金が「国民年金」だけなのか、「厚生年金」も含まれているのかを確認しましょう。
自営業やフリーランス、専業主婦(主夫)だった期間が長い方は、主に国民年金(基礎年金)になります。この国民年金の平均月額は、約5万6000円程度です。「満額なら6万5000円近くもらえるはずでは?」と思うかもしれませんが、未納期間や免除期間があると、この金額は下がってしまいます。月5万円台で家賃や食費、光熱費をすべて賄うのは、正直非常に厳しいのが現実です。
一方、会社員や公務員として働いていた方が受け取る厚生年金(国民年金を含む)の平均は、男性で約16万3000円、女性で約10万4000円程度と言われています。ここでも男女差や、現役時代の給与水準による大きな差があります。「平均14万円」というニュースを見ても、女性単身世帯では10万円に届かないケースも珍しくありません。
「もっともらっているはず」という誤解
「あの人はもっともらっているらしい」という噂話に惑わされてはいけません。年金額は、現役時代の給料と働いた年数で厳密に決まります。
特に注意したいのが、60代前半で受け取る年金と、65歳以降の年金の違いです。現在は65歳受給開始が基本ですが、繰り上げ受給などを選択して早めにもらっている場合、月々の受給額は減ってしまいます。「隣の芝生は青い」ではありませんが、他人と比較して落ち込む必要はまったくありません。大事なのは「自分はいくら使えるのか」を1円単位で正確に把握することです。
「このままでは貯金が尽きる?」年金だけで暮らせない理由と毎月の赤字額
「年金が入ればなんとかなると思っていた」という声は、多くのシニアから聞かれます。なぜ、計算通りにいかないのでしょうか。それは、計算に入っていなかった「時代の変化」が起きているからです。
物価の上昇に年金が追いつかない
スーパーに行って、卵や野菜、電気代の値段を見て驚いたことはありませんか。昔の1万円と、今の1万円では、買えるものの量が減っています。
年金制度には、物価が上がると年金額も少し増える仕組みがありますが、物価の上昇スピードに完全には追いついていません。つまり、通帳に入ってくる金額が変わらなくても、実質的には「受け取る価値」が目減りしているのです。これまでと同じ生活をしているつもりでも、毎月少しずつ家計が苦しくなっていくのはこのためです。
医療費と介護費という「見えない借金」
60代、70代と年齢を重ねるにつれ、どうしても避けて通れないのが体の不調です。これまでは健康診断くらいで済んでいた医療費が、定期的な通院や薬代で毎月数千円、数万円とかかってくるようになります。
さらに、家のリフォームや家電の買い替えなど、予期せぬ出費も重なります。総務省の調査などを見ると、高齢夫婦無職世帯では、毎月数万円の赤字が出ているというデータもあります。この赤字分を埋めるのが「老後資金(貯蓄)」ですが、この貯蓄を取り崩すスピードが予想より早いと、80代、90代で底をついてしまう「長生きリスク」が発生します。
今からでも遅くない!「年金+α」で安心を手に入れる老後資金の正解
ここまで少し怖いお話をしてしまいましたが、諦める必要はありません。今、60代・70代からでも打てる対策は十分にあります。大掛かりな投資や、無理な労働をする必要はありません。地に足のついた「3つの守り」を固めましょう。
1. 固定費の「聖域なき」見直し
収入を増やすのは大変ですが、支出を減らすのは今日からできます。特に効果が大きいのが「固定費」です。 なんとなく契約し続けている携帯電話のプラン、誰も見ていない動画配信サービス、乗る回数が減った自動車などはありませんか。特に保険は、子供が独立した後も手厚い保障のままになっていることがあります。「長年の付き合いだから」と見直さずにいるのが一番の損失です。これらを整理するだけで、月1万円〜2万円の「手取りが増えた」のと同じ効果があります。
2. 「小さく働く」という選択肢
「もうあんなにガツガツ働きたくない」と思うのは当然です。ですが、月3万円〜5万円稼ぐだけの「小さな仕事」ならどうでしょうか。 シルバー人材センターや、趣味を生かした手作り品の販売、短時間の軽作業など、シニアの経験を求めている場所はたくさんあります。フルタイムで働く必要はありません。月に数万円のプラスがあれば、年金の不足分を補うだけでなく、貯金の取り崩しを止めることができます。社会とのつながりもでき、健康維持にも役立つ一石二鳥の方法です。
3. 守りながら増やす「お金の置き場所」
銀行に預けているだけでは、利息はほとんどつきません。もし、当面使う予定のないまとまった資金があるなら、新NISA(ニーサ)などを活用して「守りながら運用する」ことも検討しましょう。 ここで大切なのは「大儲けを狙わない」ことです。リスクの低い投資信託などで、インフレ(物価上昇)に負けない程度に資産を守るという発想です。金融機関の窓口で勧められるままに買うのではなく、ご自身でしっかり調べて、手数料の安いネット証券などを利用するのが賢い方法です。
さいごに
ここまで読んでくださり、本当にありがとうございます。
お金の話となると、どうしても「足りない」「怖い」といった暗い気持ちになりがちですよね。でも、まずはここまで長い間、社会の中で懸命に働き、ご家族やご自身の生活を守り抜いてこられたご自分を、どうかたくさん褒めてあげてください。今の年金は、あなたが積み重ねてきた努力の結晶そのものです。
「平均より少ないからダメ」なんてことは、決してありません。大切なのは、他人との比較ではなく、あなたが今日一日を笑顔で過ごせるかどうか、それだけです。
今日ご紹介した「固定費の見直し」や「小さく働くこと」は、どれも小さな一歩かもしれません。でも、その一歩が明日の心の余裕につながります。あまりご自分を追い詰めず、できることから一つずつ、ゆっくりと始めてみてくださいね。あなたのこれからの毎日が、穏やかで温かいものになりますように。



